これは広告です

営利目的の行為にすぎませんので、気をつけてお召し上がりください。

あなたの大嫌いな人の広告です







それでは、謹んで、広告いたします。



ついに登場した、
人生を変えてくれる最終兵器!

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それは、あなたが大嫌いな、
あの人!!!!

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これでもかというほど多機能を搭載した
とんでもないスグレモノ!

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直接顔を見たくもないのは
もちろんのこと

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思い出すだけでも胸がムカムカして
思考が停止すること間違いなし!

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その嫌悪感に耐えきれずに
つい他の人に愚痴ってしまうことが可能!

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さらに仲間と一緒に愚痴れば
爽快感がドーンと増える!

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おまけに愚痴ったあとイヤ~な気分が
後引くこと間違いナシ!

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冷静になってベッドに横になってみると
ひょっとして。

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そういえば昔はあの人のこと
嫌いじゃなかったかもしれない。

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というか、むしろ好きなほうに
分類されていたかもしれない。

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いつのまに、こんなに嫌いに
なってしまったんだろう。

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などという、なんとも言いいがたい
微妙な内省も可能!

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内省?

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っていうか、なんでこっちが
考えないといけないんだ。

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しかし、あっちは絶対に変わらない。
全然、変わらない。

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そういうところも大嫌いなんだ。
ずっと同じ場所に踏みとどまりやがって。

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・・・いいだろう。

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そっちがなんとしても
変わろうとしないならば

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こちらが変わってやる。
驚くほどの変貌を見せてやる。

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あいつとはまったく違う、
自分なりの進化をとげてやる。

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ふふふふふ・・・

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クックックックックッ!

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ガーーーーハッハッハッハッ!

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・・・待て待て待て。

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これじゃ、まるで
こっちが悪役じゃないか。

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そもそも、よく考えてみれば

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他人のことを嫌いになっているような
ムダな時間は自分にはなかった。

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人生は、短い。
やりたいことは、まだまだある。

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今が、本当に自分がやるべきことを
見つめる時なんだ。

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これまで、やろうと思いながら
できなかったことを今、やろう。

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苦手だと思っていたことにも
この際だから挑戦してみよう。

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とりあえずクライアントの前で
ですよねって言うクセ、治そう。

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あと、とりあえずソーシャルとか
インバウンバウンバウンとか
言うのもやめよう。

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明日は早く帰って
対談イベント見よう。

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ちょっとワクワクしてきた。

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ところで、なんの広告だったっけ?


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これが現実です。

※リンク先でした「Smart Work Shop」は
サイトリニューアルのため
4月1日(月)~GW明けをめどに一時閉店いたします。
申し訳ありませんが、ご注意ください。

サイト再開までは、これは広告ではありません。





それでは、謹んで、広告いたします。



誰もが、この日を待っていた!

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今すぐ人生を劇的に変える
究極のライフハックツール。

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なんと・・・
送料のほうが高い!

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さらに、なんと送料は、
配達地域によって違う!

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なお、ペンは
ご自身でご購入ください。

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何も、送信しない。
何も、受信しない。

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漢字がわからない?
辞書で調べてくれ。

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データ化できない?
そこまで面倒見れないよ。

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や、やめろっ。
ページを破るのは。

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あっやめて。
鼻をかむのは。

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ちょっと待て、待て。
とりあえず落ち着けよ。

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いったい何をそんなに
イライラしてるんだ。

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送料か?送料のことか?

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なんだ、違うのか?

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ほら、このページ貸してやるから
一筆やれよ。

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さあ、書けって。遠慮するな。
そのイライラの原因はなんなんだ?

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で、本当はどうしたい?
ノマドになりたいのか?

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宇宙事業がやりたいのか?

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それとも、
なんにもやりたくないのか?

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その気持ち、わかるなあ。

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オレもさ、昔はもっとブレイクすると
思ってたよ。信じてたよ。

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もっとちやほやされて
時代の寵児になる予定だったんだ。

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そこにやってきました、
この情報革命ですよ。

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ノートに生まれたことを
うらんだときもあったよ。

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増田に投稿しようと
思った時もあった。

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さみしさのあまり
昔の恋人に友達申請した時もあった。

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それで拒否られた時の
恥辱感ハンパない。

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逆にそれで興奮して
クセになっちゃって。

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でも昔の恋人とか、いないし。

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ごめん、今ウソついた。

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もうさ、
毎日そんな感じ。

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時代はどんどん変わっていく。
対応しなきゃいけないことばかり。

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苦労しておぼえたことも
明日には捨てなきゃいけない。

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だけどね

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オレはやっぱりノートなんだよ。
色々仕様は変わったけど。

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そういうの、わかるだろ?
あるだろ?

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どうしても変わることができない
自分の中の残念な、でも大切な部分。

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そういうことを書きとめてみなよ。
そうそう、そんな感じ。

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字が苦手なら絵でもいい。
言葉にならないモヤモヤを描けよ。

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コピペじゃなく、
自分だけの筆跡を残せよ。

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下手な文字も、ブルブル震えた線も
全ては、あんただけのものだ。

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他の誰のものでもない
自分だけの人生。

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生きるという、この残酷で
そして素晴らしい行為を
しっかりとオレの中に刻んでけ。

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どうだ、書きやすいか?
気に入ったなら、買ってけ。

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ああ、そうそう、
言い忘れていた。

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送料は、安くしないからな。

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がっかりさせて悪かったな。

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これを読んでくれる人は、自分がマーケティングされてるって理解した上で読んでほしいし、それでもちょっとだけ参考になったらうれしいと思うし、あとタイトル長すぎる(その2)

(今の状況)
とあるノートの広告をすることになったYASUさんと僕は、
広告表現を考えるべく色々と打ち合わせをしているところです。


*100人の水着の女子大生

次の打ち合わせの時、放送作家のYASU(全角)さんは、
例の「フィールドノート」を自分で購入して持ってきてくれた。
YASUさんはこのノートを手に入れるまでに、
どれだけ苦労したかという話を長々としてくれて、
とにかくどこにも売ってなかったとか、とある百貨店に電話で問い合わせたら
担当の人がすごく一生懸命探してくれて感動したとか、色々言っていたけど
要は、結局は僕らの知ってる、このECサイトからしか買えなかったということらしい。

ナレッジストックノート | こだわりステーショナリー Smart Work Shop(スマートワークショップ)


YASUさんに見せてもらうと、思ったよりも小さい。
片手で持って、立ったまま書けるのだから、まあそうなんだろうけど。


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たしかに手にすると、ぴったりとフィットして気持ちいい。
表紙はしっかりした堅さがあって、曲がったりしない。

うっすらとドットが印刷されていて、文字だけじゃなく
図とか絵とかを書くのにも便利そうだ。



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YASUさんは、必死に探しまわってやっと手に入れた
小さなノートを愛おしそうにを見つめている。
(さっさとネットで買えばよかったんだけど、送料がネックだったそうだ)


そんなYASUさんに「リサーチについての思い出」を聞いたら
若い頃、とあるテレビ番組のために、水着の女子大生を
100人集めなければいけない、という難題に直面した話をしてくれた。

彼はとにかく色んな女子寮に電話をかけまくったが、誰も相手にしてくれない。
しかし、何度も何度も寮長やまとめ役の女子大生に電話でお願いし続けた結果、
締め切り直前に、一気に電話が鳴り、なんとか100人集めることができたそうだ。

今そんなことしたら、いやがらせとかストーカーとかで
大問題になるんじゃないかな、と思ったけど、黙っておくことにした。



*がっかりさせたくない

ところで、YASUさんは、この十数年間、
障害のある人や介護が必要な人たちと、そのサポートに関わる人々の
活動を伝える番組に関わり続けてきた。

残念ながらこの番組は今月終了してしまったけど、
彼は粘り強い取材を地道に行い続けて、番組を長年制作してきた。

YASUさんには、こんな持論がある。


「取材を受けた本人を、がっかりさせたくないんです」


報道番組も、ドキュメンタリー番組も、必ず制作者の意図が入ってしまう。

どうやったら面白くなるか?どうやったら涙を誘えるか?そして、どうやったら視聴率を取れるか?

しかしそうやってできた番組を、取材を受けた本人が見たら、がっかりするかもしれない。
自分はこんなにかわいそうな人間じゃない、とか、そんなに立派な人間じゃない、とか。
だからせめて、本人がそれを見た時に、がっかりしないような番組を作りたいんだと。

なぜなら、とYASUさんは話す言葉に力を入れた。

「この人たちの力になりたい、と思うことで、視点が変わってくるんです。
どんな表情を撮るのか。どんなシーンをピックアップするのか。
僕は取材する人に言います。テレビに映るあなた方の姿は
少し別のものとなってしまうかもしれない。
だけど、みなさんをがっかりさせるようなことはしません、って」



*広告の限界


広告制作で大切なのは、対象となる商品やサービスがもつ魅力を「色んな視点から」探すこと。
面白い視点が見つかったら、そこから発想を思いきり膨らませて表現する。
僕はそう教えられてきた。


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だから、広告表現というのは視点をしぼりこむことであり、
余計な情報をそぎ落とす作業でもある。

これには理由があって、テレビ番組というのは30分とか1時間とか
それなりのボリュームがあるけど、CMはたったの15秒とか30秒しかない。
おまけに視聴者は、広告なんて見たくない。

なので、広告制作者は訴求点をしぼりこんで、必死に注目を浴びるための努力をする。
このノートがもっとも売れるための魅力は何か?どうすればそれをアピールできるか?

「16,000人が選んだ究極のノート!」

「5mmドットが自由なアイデアを生む!」

「サラッサラの書き心地が右脳を刺激!」

「立ったままでも余裕でメモがとれる!」

「電池が切れる心配は一切ナシ!」

このように、わずかな時間で伝えられる商品の魅力というものは
デフォルメされたものにならざるをえない。

それでも商品が売れるなら、広告主は「がっかりしない」かもしれないが

全然興味のない広告を見せられた人や
商品を買ってみたらイメージと違ってショックを受ける人の
「がっかり」までも担保するのは難しい。

おまけに今、ステマだとか、広告スペースが大きすぎるとか
マスゴミだとか、広告は何かと目の敵にされている。


僕だって、YASUさんみたいに、かっちょいいことを言ってみたい。

せめて、このブログを読んでくれている
あなたにだけは「がっかり」してもらいたくない。

さて、どうしたものか。



(次回予告:だけど、とりあえず結論を出さなきゃいけない)

これを読んでくれる人は、自分がマーケティングされてるって理解した上で読んでほしいし、それでもちょっとだけ参考になったらうれしいと思うし、あとタイトル長すぎる(その1)



すみません、まず最初に申し上げます。

この記事は完全なる「広告」であり、この記事を読んでいただける方に
商品を紹介し、あわよくば購入してもらいたいという
「営利目的のマーケティング行為」です。
ですので、どうか、はっきりと伝えさせてください。

これは、広告です。



*YASUさんのこと

YASU(全角)さんとは、まだ夏には蛍を見ることができる町に住んでいる、
50代の放送作家である。

彼は十数年間、福祉とボランティアを紹介する番組の制作に携わっていて
とても実直で、穏やかな性格の人だ。

おまけに、話をしているうちに
「どうせ、ぼくなんてさ・・・」
みたいなネガティブな言葉が出てきちゃうので
全然「YASU」って感じじゃない。
しかしご本人はYASU、と名乗るので、仕方がないからそう呼ぶことにする。



実は、僕自身、YASUさんと出会ったのは最近で、
ほとんど一緒に仕事をしたことはない。

そもそもテレビ屋と広告屋というのは、近いようで、実は全然違う商売なので
何かのきっかけがないと、接点すらなかったりする。

だけど僕は、なんだかYASUさんのことが気になっていたので
思いきって、今回の仕事を一緒にやってくれませんかと相談した。
そして彼は、快く引き受けてくれた。


さて、今回、僕たちはこんな商品を広告することになった。

写真とかクリックするとECサイトにとんでしまうので
今はざっと見るだけにして、気になった方は後でゆっくりご覧を。

ナレッジストックノート | こだわりステーショナリー Smart Work Shop(スマートワークショップ)

http://www2.enekoshop.jp/shop/smartworkshop/item_list?category_id=232558



これは、フィールドワークノートという種類の、
立ったままでも書くことができる、小さめのノートらしい。

このノートを題材にした理由は、大人の事情も含めて色々あるけど、
シンプルな題材だから、表現方法に自由度があるんじゃないか、
という下心もある。

僕はさっそくYASUさんと一緒に、このブログを使って
どんな広告をすればいいかを話し合った。

こういう時、普通、広告制作者は
グルグルとその商品の周りを360度まわって、表現の「切り口」を探す。

ノートって・・・紙でできてるよね・・・「紙のぬくもり」ってどうかな?とか
・・・このデジタル時代にあえて手書き・・・が脳を刺激する?とか
紙って、うまくやればスパッって切れるから護身用になる?とか

YASUさんは、ふむふむ、と僕のつまんない話を聞いてくれたり
突然、オレも若い頃にもっとあんなことをやったらよかったな的な
ネガティブな物語をはさんだりしながら
辛抱強く打ち合わせに付き合ってくれた。

お互いに何かスーパーアイデアが出てきたわけではなかったけど
まあ、最初だし、こんなものかな、と思った。

そうやって、しばらくブレストをしてから
まあとりあえず、そんな感じで考えてみますかね、と一度、解散した。





*オー、イエイ!

さて、YASUさんと別れてちょっとしてから、僕は急に思った。

YASUさんはテレビ番組の放送作家だ。

ひょっとして、彼は彼なりに発想の方法があったのに、
気を使って、こっちに合わせてくれたんじゃないだろうか。
僕は若造のくせに大先輩に自分のやり方を押しつけて
すごく失礼なことをしてしまったのではないだろうか。

僕は自分のデスクに戻ってから、ちょっとだけ考えて
それからYASUさんに、こんなメールを送った。


YASUさま

おつかれさまです。

ちょっと思いついたのですが

YASUさんが企画を考えたり

台本を書いたりする時に

何か参考にする考え方とか

お手本みたいなものとかがあれば

それもちょこっと教えてもらえたらなと思いました。

公開できる範囲で、もちろんけっこうなんですけど。


すぐにYASUさんから返信があった。


ご連絡ありがとうございました。

????

お手本?

大げさに言えば、徹底したリサーチ

その実、直感みたいな。

わかるかなあ、わかんねえだろうな・・・

オー、イエイ!



オー、イエイ!
さすがに、大先輩である。
徹底したリサーチというのは、
数々の広告クリエイターがバイブルとしてきた
ジェームス・W・ヤングの著書『アイデアのつくり方』
の中でも、もっとも重視されている要素だ。

そうだった。
表現の切り口とか探す前に、まずは商品に関する情報収集を
たっぷりと行うのが基本だったのに、僕はすっかり忘れてしまっていた。
いや、たかがノートだからと見くびって、
商品の情報なんかどうでもいいから
それより何か面白い表現方法を考えなきゃと
小手先のことばかり考えていたのだ。
YASUさん、ごめんなさい。
バカな若造をどうか許してください。



僕は、そういう内容を、YASUさんに急いでメールした。
返事はすぐにあった。


そんな偉そうなものではないんです。

私の場合は・・・

詳細は、原稿で。

わざわざご返信ありがとうございます。



あくまで腰が低い。どこまでも謙虚な人だ。



と思ったら、続けて、もう一通メールが来ていた。



あ、それから

「わかるかな、わかんねだろうな」

という台詞は、松鶴家 千とせさんの言い方を

マネしただけで、まったく深い意味はありません。

松鶴家 千とせさんをご存知なければないでそれはいいのですが。

ただ、私自身、ある懸念をしていた事は、事実です。

というのは、「わかるかな?」と言うほど、直感だの、リサーチなど

さして難解な事を言ってはいないのに

そこで敢えて、「わかるかな」を引用した安直さです。

このあたりが、私の、底の浅いところです。




正直、うざいなと思った。






*睡眠と覚醒のあいだで


YASUさんが若い頃に使っていたノートの写真。
自宅に残っていたものを撮って送ってもらった。
スマホで撮影してメールで送信したのは、生まれて初めてだそうだ。


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以下は、YASUさんが書いてくれた原稿。


実はぼくもすっかり年高になってしまって最近はすっかりご無沙汰なんですけれど、今から20年以上も前、30代の頃には1週間に3本、4本テレビ番組のレギュラーを持たせていただいていて、企画会議なんてものも掛け持ちしていた時期がありました。若かったんですね。だから務まっていたんですね。今では考えられません。で一応、会議ごとにネタとか企画案を用意していくわけです。当時から、ただ新聞の切り抜きや雑誌のコピーを持ってくるだけの構成者やブレーンには、無能のレッテルが貼られていました。そう思われるのが嫌だったから無理にでも簡単な構成や展開案をでっち上げることになります。しかも時間に追われているから大急ぎで。その際決して怠ってはいけないのが、「これどこかで見た企画やな」と局サイドの人間に言われることです。もちろん口に出さず心の中で思われてもいけません。だからといって、そうそう斬新な企画など出るはずもありません。そこで類似する企画、記事に可能な限りアタリを付け、似て非なる形をめざします。
(長いので中略。全文はまた今度、掲載します)
とにかくパソコンなどというものがない時代です。資料探しは足と勘で捜しました。行き先は、図書館と大型書店です。それと電話リサーチ。あれほど電話をかけて、一面識もないひとに、根掘り葉掘り情報を与えてもらった時期はありません。20代から30代にかけての10数年間は、ぼくのリサーチ力が熟成された黄金時代だったのかもしれません。徹底したリサーチ、情報収集ができると、あとはいかにアウトプットするか、なんですが、なかなか考えはまとまりません。だってそうでしょう、そんな簡単にまとめることのできる頭を持っていたら、今ごろはもっと違った生活をしています。で、アイデアを熟成、集約するためにぼくが選んだ道は寝ることでした。眠るのではありません。体を横にして目を閉じるのです。するとぼくはだんだん眠くなる。やがて睡眠と覚醒のあいまを行きつ戻りつし始めます。その時に思いつくんですよね。それまで思いもしなかったアイデアが。で、さっと起きる。ここでそのまま眠ってしまったらおしまいです。目覚めたとき何も覚えていませんから。寝ては置きる。その繰り返しで、企画はふくらんでいきました。今、この文章も、寝たり起きたり、まるで病人のような状況で書いています。


僕はYASUさんの文章を読んで、今の自分のことをすごく恥ずかしいと思った。
ロクに商品のことも調べない。
事業計画とか、来年の予算とかのほうが
サラリーマンには重要なんだと、自分に言い訳をして
新しいアイデアを生み出そうとする努力も怠っている。

昨晩も、僕は何もアイデアを考えずに、グウグウとお気楽に熟睡していた。

企画の仕事を始めた頃、僕は師匠に、こう教えられた。

「オレたちはな、仕事が世の中に出るまでは、ずっと考え続けるんだよ。
寝ても覚めても、お酒を飲んでても、お姉ちゃんと遊んでても
ず~っと頭のどこかで、アイデアについて考え続ける。
お前も、そのうち、それが当たり前になるさ」

師匠の予言どおり、僕もすぐに、文字通り寝ても覚めても企画のことを
考え続けるようになった。
というか、そうしないと仕事が来ないんだから仕方がない。
どれだけウンウン考えても、いいアイデアが出ないことにずっと悩み続け、
ある日すごい企画を思いついて有頂天になっていたら
そういう夢だったとわかって、ものすごく落胆する、
という毎日を送っていた。

はずだった。

それが、いつのまに、いびきかいて安眠できるようになったのか。



わかるかなあ、わかんねえだろうな・・・オー、イエイ!


そのフレーズとともに、YASUさんのニヤリと笑った顔が
僕の頭をずっと、グルグル、グルグルと回り続けていた。


若干、うざいなと思った。




(次回予告:Googleリーダー終了までには更新予定)